がん:安定化された変異型p53への腫瘍の依存性を治療に利用することで生存期間が延長する
Nature 523, 7560 doi: 10.1038/nature14430
p53のミスセンス変異によって作られる異常タンパク質は腫瘍抑制因子機能を持たず、また、悪性のプログレッション、浸潤、転移および化学療法抵抗性を促進する発がん性の機能獲得性活性も獲得していることがある。変異型p53(mutp53)タンパク質は腫瘍特異的に大規模な構成的安定化を受け、これが機能獲得性活性の獲得に非常に重要な必要条件である。現在、世界中で、高度に安定化されたmutp53を発現する腫瘍を持つ患者が1100万人いるが、mutp53がin vivoでの治療標的であるかどうかは分かっていない。今回我々は、不活化可能なR248Qホットスポット変異(floxQ)を発現する新しいmutp53マウスモデルを用いて、腫瘍がmutp53の持続的発現に依存していることを示す。タモキシフェン誘導的にmutp53を除去すると、同種移植腫瘍および自己由来腫瘍の増殖が抑制され、その結果、マウスの生存が37%延長し、また、進行腫瘍ではアポトーシスや腫瘍の退縮あるいは増殖の停滞が見られた。HSP90/HDAC6シャペロン装置は、正常組織に比べてがんでは大幅に上方制御されており、mutp53安定化の主要な決定因子である。長期にわたるHSP90阻害はQ/−(R248Q対立遺伝子)およびH/H(R172H対立遺伝子)mutp53マウスの生存を、それぞれ59%および48%と大幅に延長させるが、それらと対応するp53−/−(別名Trp53−/−)同腹仔の生存は延長しないことが分かった。このようなmutp53依存的な薬剤の効果は、17DMAGとSAHAを併用投与したH/Hマウス、およびHsp90の強力な阻害剤ガネテスピブを投与したH/HマウスおよびQ/−マウスに見られた。薬剤活性が、mutp53分解の誘導、腫瘍のアポトーシスおよびT細胞リンパ腫形成の防止と相関することは重要である。これらの原理証明データは、mutp53をがん特異的薬剤標的として利用できることを明らかにしている。

