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細胞生物学:低酸素予定運命図によって成体心で代謝回転する心筋細胞が突き止められた
Nature 523, 7559 doi: 10.1038/nature14582
成体の哺乳類の心臓は、相当数の心筋細胞が消失した後、有意な機能回復はできないが、成体のマウスおよびヒト心臓で、主に既存の心筋細胞の増殖によりある程度の心筋細胞の代謝回転が起こることが現在明らかになっている。しかし、これらの代謝回転する心筋細胞の将来の運命を調べることは確認できる遺伝的マーカーがないため、今のところ不可能である。複数の器官で、幹細胞あるいは前駆細胞は比較的低酸素の微小環境に存在し、そのような環境では低酸素誘導因子1α(HIF-1α)サブユニットの安定化がそれらの細胞の維持と機能に重要である。今回我々は、HIF-1αの酸素依存性分解(ODD)ドメインをタモキシフェン誘導性CreERT2リコンビナーゼに融合させたキメラタンパク質を発現するトランスジェニックマウスを作製することにより、低酸素細胞およびその子孫の予定運命図を報告する。普遍的なCAGプロモーターあるいは心臓特異的αミオシン重鎖プロモーターにより駆動されるcreERT2-ODD導入遺伝子を有するマウスで、小さなサイズ、単核、および酸化DNA損傷が少ないなど、増殖能を有する新生仔心筋細胞の性質を示す数少ない低酸素心筋細胞の集団が明らかになった。これらの低酸素心筋細胞が成体心での新たな心筋細胞形成に広く関与することは、特記に値する。以上の結果から、低酸素シグナル伝達が代謝回転する心筋細胞の重要な特徴であることが示され、低酸素予定運命図作成は成体哺乳類で代謝回転する細胞を明らかにする強力な手段となり得ることが示唆される。

