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進化学:性転換は遺伝的性決定から温度依存的性決定への迅速な移行の引き金となる

Nature 523, 7558 doi: 10.1038/nature14574

動物の性決定は、驚くほど柔軟である。脊椎動物では、性の完全な遺伝的制御(遺伝的性決定)から環境による性決定(例えば温度依存的性決定など)まで、多様で対照的な様式が見られる。系統発生解析から、爬虫類などの環境に敏感な生物系統では、遺伝的性決定と温度依存的性決定との間で頻繁に進化的移行が起こってきたことが示唆されている。このような移行には、遺伝的機構が温度感受性となり、遺伝子と環境の相互作用によって性が決定されるようになるという変化が介在していると考えられる。移行機構のモデルのほとんどは、性転換の果たす役割を想定している。性転換は、魚類や、希少ながら両生類において起こるが、有羊膜類ではこれまで自然界で起こることが実証されていなかった。今回我々は、野生の爬虫類で性転換が起こることを、オーストラリアのフトアゴヒゲトカゲ(Pogona vitticeps)で初めて明らかにし、性転換した個体を使って、遺伝的性決定から温度依存的性決定への迅速な移行を実験的に引き起こした。正常な雄と性転換した雌とを管理下で交配したところ、生存可能で繁殖力を持つ子孫が生じ、その表現型としての性は温度だけによって決まった(温度依存的性決定)。この系統からは、性染色体のW染色体が第一世代で消失した。温度感受性のZZ個体の系統がこのように瞬時に生じたことから、遺伝的性決定と温度依存的性決定との間の迅速な移行のための、気候誘導型の新たな経路の存在が明らかになるとともに、全球の急激な気候変動への適応に関する懸念が増大する。

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