Letter
進化学:ハルキゲニアの頭部と初期脱皮動物の咽頭防護構造
Nature 523, 7558 doi: 10.1038/nature14573
分子系統樹に基づいて定義されたクレードである「脱皮動物」は、汎節足動物(真節足動物門、有爪動物門および緩歩動物門)と蠕虫状の環神経動物(線形動物門、類線形動物門、鰓曳動物門、胴甲動物門および動吻動物門)からなっている。これらの多様な門は、脱皮するという点でひとまとめにされているが、それ以外に共通する形態的形質はごくわずかで、そのうち化石化する可能性が高い形質は皆無である。そのため、脱皮動物の全体としての初期進化史はほとんど分かっていない。本論文では、中期カンブリア紀のバージェス頁岩で見つかった5億800万年前のステム群有爪動物ハルキゲニアの一種Hallucigenia sparsaの化石標本について再記載する。一対の単眼を有する細長い頭部、放射状に並ぶ硬化した要素を含む末端部の口腔、および針状の歯が並ぶ分化した前腸が確認された。放射状の要素および咽頭歯は、緩歩動物やステム群真節足動物、蠕虫状の環神経動物に見られる硬化した周口要素(circumoral element)および咽頭歯に似ている。系統発生解析の結果から、同等の構造が祖先の汎節足動物の特徴であったことや、一見すると祖先の脱皮動物の特徴でもあったらしいことが示され、汎節足動物と環神経動物の口器様構造の進化的に古い相同性が明らかになり、脱皮動物という巨大系統群における構造的な共有派生形質が得られた。

