Letter
気候科学:モデルによって検証された過去1000年間の北大西洋振動の再構築
Nature 523, 7558 doi: 10.1038/nature14518
北大西洋振動(NAO)は、北半球における冬季の大気循環の変動の主な原因であり、気温、降水量、ストームトラックに大きな影響を与えるので、保険、再生可能エネルギーの生産、穀物生産高、水管理などの戦略分野にも大きな影響を与えている。近年の力学的手法の発展によって、NAOの季節予測を改善できる見込みが出てきたが、数年の時間スケールで潜在的予測可能性を評価するには、NAOの過去の低周波変動を調べる必要がある。近年行われた、2つの代理指標による過去1000年間のNAOの再構築によって、中世が長期的な正のNAOの状態にあったことが示唆されており、この時期のヨーロッパの著しく温暖な状態が説明されている。しかし、こうした結論については議論が交わされている。本論文では、過去1000年間のNAOの1年ごとの再構築結果を示す。この結果は、始めに選んだ48個の大西洋の周辺に分散する1年ごとの代理指標記録に基づいており、多変数回帰のアンサンブルによって構築された。我々は、この手法を6つの過去1000年間の気候シミュレーションで検証し、今回の再構築結果は2つの代理指標による結果より優れていることを示す。最終的な再構築結果には、中世における永続的な正のNAOは見られないが、13~14世紀には正の位相が支配的だったことを示唆している。この再構築結果からは、大規模な火山噴火の2年後に正のNAOが出現したことも明らかになっており、フィリピンのピナツボ火山の噴火のモデルと衛星観測から得られた結果と一致している。

