化学生物学:ロンボイドプロテアーゼの細胞質内に伸びている領域は、基質の接近度の調整により酵素活性を直接調節している
Nature 523, 7558 doi: 10.1038/nature14357
膜内在型プロテアーゼは、さまざまな細胞シグナル伝達経路のシグナル発生段階を触媒し、またマラリア感染からパーキンソン型神経変性に至るさまざまな病気に広く関わっている。このように重要な役割を担っているにもかかわらず、膜に埋め込まれているこのような酵素については、直接調節を受けるのかどうか、またその調節の仕組みがどのようなものなのかは解明されていない。今回我々は、この問題に取り組むために、他の状況下で調節機能を発揮することが知られているドメインを含む膜内在型プロテアーゼを選んで、カルシウムに結合するEFハンドを持つロンボイドプロテアーゼの特徴を調べた。ショウジョウバエ(Drosophila)細胞では、カルシウムが内在性プロテアーゼのロンボイド4によるタンパク質分解を強力に促進することが分かった。また、このようなカルシウムの影響は、精製後にリポソームを使って再構築されたロンボイド4でも見られた。アミノ末端のEFハンドを欠失させると、タンパク質分解活性が上昇する。一方、離れた膜貫通領域を結び付ける細胞質ループの残基もカルシウム刺激を媒介していた。二量体化あるいは基質との相互作用のいずれによっても、ロンボイドプロテアーゼが調節を受けることはなかった。しかし、カルシウムは基質の活性部位への接近を促進することで触媒反応速度を上昇させた。膜の外側に切断部位がある基質は切断可能だが、活性は調節されなくなる。このような観察結果は、基質の膜内活性部位への接近は触媒に必須の段階ではないが、膜内でのタンパク質分解を調節する機構として進化してきたことを示している。さらに、これらの知見は、タンパク質分解を引き起こす上流の入力を調べることでロンボイドプロテアーゼの機能を研究するための新しい手法を提供している。

