がん:MYCはリンパ腫発生の必須段階としてmRNA前駆体スプライシングの中核装置を調節する
Nature 523, 7558 doi: 10.1038/nature14351
MYC転写因子の発現の脱調節は、ヒトのがんの大半で見られ、高度の増殖、細胞代謝の再プログラム化、および予後不良と関連している。過剰発現したMYCは、結合親和性が異なるにもかかわらず、細胞内のほぼ全ての活性化プロモーターに結合し、さまざまな異なる遺伝子集団の発現を変化させる。しかし、腫瘍形成におけるMYCの極めて重要なエフェクターについては、まだほとんど分かっていない。本研究では、Eμ-mycトランスジェニックマウスのリンパ腫発生において、MYCはSmタンパク質をメチル化するアルギニンメチルトランスフェラーゼであるPrmt5など、中核的な核内低分子リボ核タンパク質粒子を構成する遺伝子群の転写を直接上昇させることを示す。この協調的な調節作用は、中核的な核内低分子リボ核タンパク質粒子の生合成や、メッセンジャーRNA前駆体の効率的なスプライシング、細胞の生存や増殖に非常に重要である。我々の結果は、MYCが弱い5′ドナー部位を持つエキソンのスプライシングの忠実度を維持することを示している。我々はさらに、MYC–PRMT5軸の変動に特に感受性を示すメッセンジャーRNA前駆体を見いだし、その結果、イントロンリテンション(例えばDvl1)やエキソンスキッピング(例えばAtr、Ep400)が起こることが分かった。我々はアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて、これらのスプライシング異常が、PRMT5を欠失したEμ-myc B細胞で見られる抗増殖性/アポトーシス性の表現型に寄与することを示す。MYCは転写や翻訳で発がん性作用を持つことがよく知られているが、それに加えて、リンパ腫発生の必須段階として適切なメッセンジャーRNA前駆体スプライシングの保護にも働いていると、我々は結論する。

