幹細胞:パイオニア因子は幹細胞の可塑性と細胞系譜選択においてスーパーエンハンサーの動態を統御する
Nature 521, 7552 doi: 10.1038/nature14289
成体幹細胞はニッチの中に存在していて、組織恒常性維持の際に、自己複製と、細胞系譜選択および進行とのバランスを取っている。創傷や培養、移植の後にニッチの外に出た幹細胞は、しばしば細胞運命の柔軟性を示す。本研究では、in vivoで、スーパーエンハンサーが成体幹細胞の特性、細胞系譜拘束、可塑性の基礎となっていることを示す。我々は毛包をモデルとして用い、毛包幹細胞と細胞系譜が拘束された前駆細胞について、それらがもともと存在している微小環境で、全体的なクロマチン領域をマッピングした。我々は、スーパーエンハンサー群とそれらの転写因子結合部位の密集したクラスター(「エピセンター」)が、細胞系譜進行に伴って作り変えられることを示す。新しい運命は、古いスーパーエンハンサー/エピセンターの解消と、新しいスーパーエンハンサー/エピセンターの確立により獲得される。これは、あるマスター調節因子集団を弱める一方で別の調節因子集団を強める1つの自己調節過程である。また、in vitroまたは創傷修復のどちらかで毛包幹細胞がニッチの外側にある場合、毛包幹細胞は自身の微小環境の変化に応じて動的にスーパーエンハンサーを再編することを示す。興味深いことに、主要なスーパーエンハンサーの中にはエピセンターをシフトさせるものもあり、それらの遺伝子が活性を保ち、絶え間なく変わる転写状況において遷移状態を維持できるようにしている。さらに、毛包幹細胞のスーパーエンハンサーでは、SOX9が非常に重要なクロマチンの加減抵抗器であることを明らかにし、スーパーエンハンサーがパイオニアマスター調節因子に対して非常に感受性の高い、動的で密集した転写因子結合プラットフォームであり、そのレベルは系譜状態の空間的時間的特性を規定するだけでなく、幹細胞性、遷移的状態における可塑性、および分化も規定しているという機能的証拠を示す。

