Letter

有機化学:可視光によって活性化される光酸化還元不斉遷移金属触媒反応

Nature 515, 7525 doi: 10.1038/nature13892

精密化学業界や製薬業界において鏡像異性体的に純粋(エナンチオピュア)な小分子の需要が非常に高まっており、不斉触媒反応は、そうした需要を満たす最も経済的な戦略の1つと考えられている。また、可視光は、化学変換や触媒化学過程を引き起こすための環境に優しく持続可能なエネルギー形態であると評価されている。こうした理由から、可視光で駆動される不斉触媒化学反応が、現在大きな関心の的となっている。光酸化還元触媒反応によって、非常に反応性の高いラジカルイオン中間体を生成する機会が得られる。そうした中間体は、驚くほど温和な反応条件下で、独特な、あるいは従来とは異なる反応性を示すことが多い。そのような系では、光活性化増感剤によって、閉殻有機分子からの(あるいは閉殻有機分子への)単電子移動が開始され、ラジカルカチオンまたはラジカルアニオンが生成される。次に、これらのラジカルイオンの反応性が、興味深い化学変換や特殊な化学変換に利用される。しかし、光励起された基質や中間体ラジカルイオンやラジカルの反応性は高く、次に続く反応への活性化障壁は低い。このことは、立体化学的に制御された条件下で進行して非対称形のキラル分子を合成する効率的な触媒光化学プロセスを開発するのに、大きな障害となる。今回我々は、必要な分子活性化に可視光を用いることにより不斉触媒反応と光触媒反応を起こす高効率不斉触媒について報告する。我々は、キラルイリジウム錯体が、光酸化還元触媒反応の増感剤として働くと同時に、2-アシルイミダゾールのエナンチオ選択的アルキル化において非常に効果的に不斉誘導を起こすことを示す。この光酸化還元不斉触媒の金属中心は、唯一のキラリティー源、触媒活性ルイス酸中心、光酸化還元中心としての役割を同時に果たす。今回の新触媒によって、非ラセミ・キラル分子の「グリーン」合成を行う新しい機会が得られる。

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