微生物生態学:両生類は真菌の生菌および死菌に対する抵抗性を獲得して真菌による免疫抑制を克服する
Nature 511, 7508 doi: 10.1038/nature13491
新興の真菌病原体は、他のいかなる寄生性の生物群よりも生物多様性にとって大きな脅威となり、実際、コウモリやサンゴ、ハナバチ、ヘビ、両生類といった多くの分類群で個体数の減少を引き起こしている。現在のところ、野生動物がこれらの病原体に対する抵抗性を獲得できることを示した証拠はほとんどない。カエルツボカビ(Batrachochytrium dendrobatidis)は、近年の全球的な両生類の減少に関与している病原性真菌である。今回我々は、3種の両生類がカエルツボカビに対する行動的もしくは免疫的な抵抗性を獲得できることを示す。カエルツボカビに一度だけ曝露してから温度によってツボカビを排除するという処置をしたカエルは、この真菌を避けることを学習した。続く実験で、カエルツボカビからの忌避行動を妨害したところ、それ以前の曝露回数が、カエルのカエルツボカビ菌体数およびカエルツボカビに起因する死亡率の負の予測因子となり、またリンパ球の存在数および増殖の正の予測因子となった。これらの結果は、両生類がカエルツボカビに対する免疫を獲得でき、それによって病原体誘導性の免疫抑制を克服して生存率を高めることを示唆している。重要なことに、死んだ真菌への曝露でも、生きた真菌への曝露と同程度の抵抗性の獲得が誘導された。カエルのカエルツボカビ抗原への曝露は、病原体と接触したことがない両生類を守るためや、カエルツボカビが存続している野生区域への両生類の再導入を促進するための実際的な方法になると考えられる。さらに、脊椎動物の真菌に対する免疫応答という進化的に保存された性質、および多くの動物が天敵を回避することを学習できるという事実を踏まえると、今回の結果は、侵入する真菌によって絶滅の危機にある他の野生動物分類群についても、集団免疫に基づく管理手法で救済できるかもしれないという希望をもたらす。

