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がん:SOX2は扁平上皮がんで腫瘍のイニシエーションとがん幹細胞の機能を制御する

Nature 511, 7508 doi: 10.1038/nature13305

がん幹細胞(CSC)は、皮膚の扁平上皮がん(SCC)などのさまざまながんで報告されている。腫瘍のイニシエーションと幹細胞性を調節する分子機構はその性質がまだほとんど分かっていない。本論文では、多様な種類の胚性幹細胞および成体幹細胞で発現している転写因子のSox2が、マウスの皮膚扁平上皮腫瘍のCSC中で最も上方制御されている転写因子であることを示す。SOX2は、正常な表皮では発現が見られないが、マウスとヒトの前がん状態の皮膚腫瘍の大多数で発現が始まり、マウスとヒトの浸潤性SCCでは発現が不均一に継続する。SOX2が遺伝的に増幅されていることが多い他のSCCとは対照的に、マウスとヒトの皮膚SCCではSOX2の発現が転写調節されている。マウス表皮でSox2を条件付き欠失させると、化学物質誘発性発がん後の皮膚腫瘍形成が顕著に減少する。緑色蛍光タンパク質(GFP)をSox2転写発現のレポーター(SOX2–GFPノックインマウス)として用いて調べたところ、浸潤性SCCでは増殖中の腫瘍細胞中のSOX2発現細胞の割合が非常に高く、この割合は連続移植でさらに高くなることが明らかになった。良性および悪性の原発SCC内のSOX2発現細胞を細胞系譜除去すると腫瘍の退縮につながり、これはSOX2発現細胞が腫瘍の維持に重要な役割を持つことと一致する。既存の皮膚乳頭腫とSCCでSox2を条件付き欠失させると、腫瘍が退縮し、またこのようながん細胞を免疫不全マウスへ移植した際の増殖能力が低下する。これは、CSC機能の調節にSOX2が重要な役割を持つことを裏付けている。SOX2–GFP発現CSCおよびSox2欠失腫瘍上皮細胞の転写プロファイリングから、in vivoの原発性腫瘍細胞でSOX2によって調節される遺伝子ネットワークが明らかになった。クロマチン免疫沈降によって、SOX2の直接の標的遺伝子で、腫瘍の幹細胞性、生存、増殖、接着、浸潤および腫瘍随伴症候群を制御しているものが複数見つかった。我々の結果は、SOX2が皮膚腫瘍のイニシエーションに関わる細胞およびCSCの機能を選んで調節することで、原発性皮膚腫瘍での腫瘍のイニシエーションとプログレッションを連携させていることを明らかにしている。

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