Letter

進化:ハクジラ類の反響定位の起源の古さを裏付ける新たな化石種

Nature 508, 7496 doi: 10.1038/nature13086

ハクジラ類(マッコウクジラやイルカなど)は、暗く見通しのきかない水中環境で反響定位を使って捕食や遊泳を行っている。この能力は重要な適応の1つで、ソナーと同じ原理によっている。ハクジラ類は、音唇(噴気孔直下の鼻道の狭窄部)で高周波の音を発し、空気洞およびメロン体を用いて音の伝播を調節するという点で、反響定位を行う脊椎動物の中でも独特である。現生ハクジラ類は全て反響定位を行うようだが、この複雑な行動とその基盤となる解剖学的構造がいつどのようにして進化したのかは、ほとんど分かっていない。本論文では、米国サウスカロライナ州の漸新世層(約2800万年前)で見つかったハクジラ類化石(Cotylocara macei、新属新種)に、反響定位を示唆する特徴が複数備わっていることを報告する。それらの特徴とは、緻密質で太く下に曲がった吻、複数の気嚢窩、頭蓋骨の非対称性、および極めて幅広の上顎骨である。系統発生解析によって、Cotylocaraはハクジラ類の原始的な分岐群に位置付けられ、ハクジラ類が濾過摂食性のクジラ類(ヒゲクジラ類)の祖先から分岐した直後の漸新世前期に、原始的な反響定位が進化したことが推測された。この進化の後、反響定位音を調節する顔面筋が拡張し、それがCotylocaraの祖先や現生ハクジラ類につながる系統での頭蓋骨形状の著しい収斂的変化をもたらした。

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