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医学:ニコチンアミド N-メチルトランスフェラーゼのノックダウンは食餌性肥満を防ぐ

Nature 508, 7495 doi: 10.1038/nature13198

肥満と2型糖尿病では、Glut4グルコース輸送体の発現が脂肪細胞で選択的に低下している。Glut4を脂肪で特異的にノックアウト、あるいは過剰発現させると、全身のインスリン感受性が変化する。今回、DNAアレイでの解析を使って、脂肪特異的Glut4ノックアウトマウスあるいは脂肪特異的Glut4過剰発現マウス由来の白色脂肪組織(WAT)での遺伝子発現をそれぞれの対照と比較したところ、逆方向に最も強く調節される遺伝子は、ニコチンアミド N-メチルトランスフェラーゼ(Nnmt)遺伝子であることが分かった。NNMTは、S-アデノシルメチオニン(SAM)をメチル供与体として用いて、ニコチンアミド(ビタミンB3)をメチル化する。ニコチンアミドは、細胞の酸化還元状態をエネルギー代謝と結び付ける重要な補因子NAD+の前駆体である。SAMはポリアミンの生合成ではプロピルアミンを供給し、ヒストンメチル化ではメチル基供与体となる。合成、異化、排泄を含めたポリアミン代謝流量は、律速酵素であるオルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)とスペルミジン–スペルミン N1-アセチルトランスフェラーゼ(SSAT;Sat1にコードされる)、またポリアミンオキシダーゼ(PAO)によって制御され、エネルギー代謝に重要な役割を果たす。肥満マウスと糖尿病マウスのWATと肝臓では、NNMTの発現が亢進していることが分かった。WATと肝臓でNnmtをノックダウンすると、細胞のエネルギー消費量が増加するために、食餌性肥満が起こらなくなった。NNMTを阻害すると脂肪のSAMとNAD+レベルが上昇し、ODCとSSATの活性だけでなくその発現も上昇するが、それは脂肪組織でのヒストンH3リシン4メチル化に対するNNMTの作用のためである。NNMTの阻害が引き起こすポリアミン代謝流量増加の直接の証拠としては、ポリアミン代謝の産物であるジアセチルスペルミンの尿への排泄と脂肪細胞での分泌の増加などが挙げられる。脂肪細胞でのNNMTの阻害により、ODC、SSAT、およびPAOに依存的に酸素消費量が増加する。従ってNNMTは、ヒストンメチル化、ポリアミン代謝流量、NAD+に依存したSIRT1シグナル伝達の新規な調節因子であり、肥満および2型糖尿病治療での独特かつ魅力的な標的となる。

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