構造生物学:活性化前状態にあるアレスチンp44の結晶構造
Nature 497, 7447 doi: 10.1038/nature12133
アレスチンはGタンパク質共役受容体(GPCR)と相互作用して、Gタンパク質との相互作用を停止させ、Gタンパク質非依存性シグナル伝達を開始する。アレスチンは、2つの突出部に分かれた二葉構造をとっており、この構造が長いカルボキシ末端尾部(C尾部)によって安定化されている。受容体に結合したリン酸によるC尾部の配置換えが起こると、アレスチンは活性化されて、活性型GPCRと結合できるようになる。不活性状態のアレスチンの構造は解明されているが、C尾部の配置換えがアレスチンを活性化して受容体との結合が起こる仕組みは不明である。今回我々は、ウシ・アレスチン1のスプライス変異体p44の3.0 Å分解能での結晶構造を示す。p44ではC尾部切断によって活性化過程が模倣されている。この活性化前アレスチンの構造は、基底状態とは大きく異なっていて、活性化機構に関する手がかりが得られる。p44は、中央の極性コアや二葉間の他の水素結合ネットワークが切れていて、基底状態のアレスチン1と比較すると2つの突出部分がほぼ21°回転している。中央の稜状の突起領域にある重要な受容体結合ループ群に起こった再配置には、フィンガーループ、ループ139、Asp296からAsn305に至る配列(すなわちゲートループ)が含まれ、これらが極性のコアを制御していることが今回明らかになった。アレスチン活性化と受容体結合の際のこのようなコンホメーション変化の役割は、部位特異的蛍光分光法により実証された。これらのデータは、C尾部の移動によって、中央の重要な突起領域が、動きが制限された状態から、受容体と結合する伸びたコンホメーションに変換されることを示している。これと並行して、2つの部分間の柔軟性が増して、活性型受容体表面へアレスチンがうまく適合するようになる。我々の結果は、活性型受容体との結合の準備が整ったアレスチンの構造を捉えており、天然に存在する切断型アレスチンの視覚系での役割についての手がかりを与える。

