生化学:細菌によるメタンの好気的産生の触媒機構
Nature 497, 7447 doi: 10.1038/nature12061
メタンは強力な温室効果ガスで、好気性海洋生物によって大量に産生される。これらの細菌は、ホスホン酸メチル(MPn)中の極めて反応性の低い炭素–リン酸結合の切断によってメタン産生を触媒しているように見えるが、MPnの生物的供給源あるいは土中供給源はわかっていない。しかし、海生細菌のNitrosopumilus maritimusは2-ヒドロキシエチルホスホン酸からのMPn生合成を触媒し、細菌のC–Pリアーゼ複合体はMPnをメタンに変換することが知られている。細菌のC–Pリアーゼ複合体は、環境中のリン酸濃度が低い際には、MPn以外の多数のアルキルホスホン酸のC–P結合切断も触媒する。C–Pリアーゼ複合体由来のPhnJは、リボース-1-ホスホン酸-5-リン酸のC–P結合切断という今まで知られていない触媒反応を行って、メタンとリボース-1,2-環状リン酸-5-リン酸を作り出す。この反応には、酸化還元反応活性型の[4Fe–4S]クラスターとS-アデノシル-L-メチオニンが必要とされ、S-アデノシル-L-メチオニンは還元的に切断されてL-メチオニンと5′-デオキシアデノシンになる。本論文では、PhnJはS-アデノシル-L-メチオニンを切断する新規ラジカル酵素であって、5′-デオキシアデノシルラジカル、およびGly32とCys272に位置する2つのタンパク質由来ラジカルをまず形成してからC–P結合切断を触媒することを示す。この変換の際に、Gly32のpro-R水素が5′-デオキシアデノシルラジカルに配置換えされて5′-デオキシアデノシンが形成され、pro-S水素はラジカル中間体に運ばれて、最終的にメタンが産生する。C–PリアーゼによるC–P結合切断については、共有結合性のチオリン酸中間体を使ってメタンとリン酸を生成するという、もっと広範囲にわたる反応機構が考えられる。

