遺伝学:CXXCドメインタンパク質IDAXによるTET2発現と5-メチルシトシン酸化の調節
Nature 497, 7447 doi: 10.1038/nature12052
TET(ten-eleven-translocation)タンパク質群は、Fe(II)とα-ケトグルタル酸に依存するジオキシゲナーゼである。TETは、5-メチルシトシンをDNAメチル化標識の能動的消去の際の中間体と考えられる、5-ヒドロキシメチルシトシン、5-ホルミルシトシン、5-カルボキシシトシンに連続的に酸化していくことで、DNAのメチル化状態を変化させる。IDAX(別名CXXC4)は、Wntシグナル伝達の阻害因子であることが知られており、悪性の腎細胞がんや結腸絨毛腺腫に関与するとされている。本研究では、IDAXがTET2タンパク質の発現を調節することを報告する。IDAXは、元来は祖先型TET2遺伝子内にコードされていたが、進化の過程でこの遺伝子に染色体遺伝子逆位が起きて、それによりTET2のCXXCドメインは触媒ドメインから分離された。IDAXのCXXCドメインは、メチル化されていないCpGジヌクレオチドを含むDNA塩基配列に結合し、ゲノムDNAのプロモーターやCpGアイランドに局在していて、TET2の触媒ドメインと直接的に相互作用する。意外にも、IDAX発現は、カスパーゼ活性化とTET2タンパク質の下方制御を引き起こす。これらの過程はIDAX CXXCドメインを介するDNA結合に依存していることから、IDAXは分解の前にTET2をDNAに誘導すると考えられる。IDAXの量を大幅に低下させると、分化中のマウス胚性幹細胞ではTET2発現の下方制御が阻害される。また、IDAXに対する短鎖ヘアピンRNAは、ヒト単球細胞株U937でTET2タンパク質の発現を上昇させる。さらに、TET3の発現と活性化も、そのCXXCドメインを介して調節されていることがわかった。まとめると、以上の結果はTET2に見られる分離したCXXCドメインと、TET3で見られる連結しているCXXCドメインがそれぞれ、カスパーゼ活性化とTET酵素活性のこれまでに知られていなかった調節因子であることを実証している。

