地球:まれな硫黄同位体異常の堆積による長期再循環
Nature 497, 7447 doi: 10.1038/nature12021
大気中に大量のO2が蓄積されたことで、地球表層の化学的構造と生態学的構造が制御されるようになった。岩石に記録された非質量依存(NMD)硫黄同位体異常は、初期大気の酸化還元史を再構築するのに用いられる中心的な手段である。この異常が生成されて海洋堆積物に最初に運ばれるには、大気中のO2分圧(pO2)が低い必要があるため、23億2000万年前の岩石記録からNMD異常が消えていることは、地球史の最初の約20億年間継続していた低い大気中酸素濃度(現在の大気中濃度の約105分の1以下)から脱したことを示す証拠と考えられている。本論文では、地殻のNMD異常の地表における長期的な再循環を記述するために設計されたモデルによる研究結果を提示し、このしきい値を超えて大気中のpO2が増加した後の「地殻記憶効果」を、この地球化学的特徴の記録が表している可能性が高いことを示す。NMD異常が上部地殻に埋設されると、地殻からの移動は極めて起こりにくく、酸化された地表における風化、希釈、埋設という連続的な循環によってのみ消し去られうる。この再循環によって、大気における同位体の特徴の同時生成が終わったずっと後まで、堆積物記録に取り込まれたNMD異常が残存し、大気中のpO2が現在の大気中濃度の105分の1以上に増加した後も1000万年から1億年にわたって動的で測定可能な特徴が残ったと思われる。今回の結果は、初期地球での酸素生成を示す地球化学的証拠とNMD異常を維持する過渡的な蓄積を両立させ、将来の研究では、大気における新しいNMD硫黄同位体異常の一時的な連続生成は、それらが最終的に岩石記録から消え去るよりずっと前に終わっていた可能性がある、という考えを調べるべきであることを示唆している。

