Letter 遺伝:髄芽腫のエキソーム塩基配列解読から髄芽腫サブタイプ特異的な体細胞変異が明らかになる 2012年8月2日 Nature 488, 7409 doi: 10.1038/nature11329 髄芽腫は最も多く認められる小児悪性脳腫瘍である。これらの腫瘍の発生を引き起こす遺伝的事象を明らかにして理解することは、より効果的な診断戦略、予後戦略および治療戦略の開発に重要である。最近、我々やほかのグループが、転写およびコピー数のプロファイルを基盤として、髄芽腫の異なる分子サブタイプについて記述した。今回我々は、全エキソームのハイブリッドキャプチャー法および大規模塩基配列解析法を用いて、92組の原発性髄芽腫と正常な検体ペアのコード領域全体の体細胞変異を明らかにする。全体として髄芽腫は、ほかの小児腫瘍と一致して、変異率が低く、非サイレント変異の中央値はメガ塩基当たり0.35個である。我々は、統計的に有意な頻度で変異が見られる12個の遺伝子を同定したが、その中には、これまでに髄芽腫での変異が知られているCTNNB1、PTCH1、MLL2、SMARCA4およびTP53などの遺伝子も含まれている。また今回新たに、RNAヘリカーゼ遺伝子であるDDX3X(CTNNB1変異と同時に見られることが多い)と、核内コリプレッサー(N-CoR)複合体遺伝子であるGPS2、BCORおよびLDB1に体細胞変異が頻発することがわかった。我々は、変異型DDX3Xは、変異型β-カテニンとともにTCFプロモーターの転写活性化を増強し、細胞の生存力を高めるが、野生型β-カテニンとではこのような効果が見られないことを示す。まとめると、我々の研究は、髄芽腫全般および髄芽腫の特定のサブタイプ内で、WNT経路、ヘッジホッグ経路、ヒストンメチルトランスフェラーゼ経路、および今回のN-CoR経路に変化が見られることを明らかにし、また、RNAヘリカーゼであるDDX3Xが髄芽腫の病因となるβ-カテニンシグナル伝達の構成要素であることを示す。 Full Text PDF 目次へ戻る