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遺伝:髄芽腫に見られるゲノムの複雑性の解析

Nature 488, 7409 doi: 10.1038/nature11284

髄芽腫は悪性度の高い腫瘍で、小脳や髄質/脳幹に生じる。小児の悪性脳腫瘍の中では最も多く、生物学的にも臨床的にも非常に不均一性が高い。治療法の最近の進歩にもかかわらず、約40%に再発が起こり、30%はこの病気で死亡する。また、死に至らない場合でも、QOL(生活の質)が著しく低下することが多い。現在、臨床的、生物学的、遺伝的プロファイルの異なる4つの腫瘍サブグループが見つかっている。WNT腫瘍は、ウィングレス(wingless)経路のシグナル伝達が活性化しており、現在の治療法で予後は良好である。SHH腫瘍ではヘッジホッグ経路が活性化されており、予後は中程度である。それに比べると、グループ3腫瘍とグループ4腫瘍は分子レベルでの解明が不十分で、臨床的にも非常に困難が大きい。しかし、このような違いを生み出す原因となる遺伝的事象は完全には解明されていない。今回我々は、国際がんゲノムコンソーシアム(ICGC)のPedBrain Tumor Projectの一環として、125組の腫瘍–正常ペアの統合的な大規模塩基配列解析を行った。グループ3腫瘍とグループ4腫瘍で高頻度に見られる初期事象の1つが四倍性であり、患者の年齢と変異率に正の相関が認められた。また、既知の髄芽腫関連遺伝子(CTNNB1PTCH1MLL2SMARCA4)と、これまで髄芽腫との関連が知られていなかった遺伝子(DDX3XCTDNEP1KDM6ATBR1)の両方に、いくつか頻発する変異が見つかり、多くはサブグループ特異的なパターンが見られた。RNA塩基配列解読によってこれらの変化が確認され、我々の知るかぎり、初めて同定された複数の髄芽腫融合遺伝子が発現していることが明らかになった。全サブグループを通じて、クロマチン修飾因子の変化が高頻度に見られた。これらの知見によって、髄芽腫の根底にあるゲノムの複雑性、不均一性に関して理解が深まり、特にグループ3、グループ4腫瘍を持つ患者にとっての新しい治療標的候補がいくつか明らかになった。

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