Letter 医学:APPの変異はアルツハイマー病および加齢に関連した認知機能低下に保護作用を示す 2012年8月2日 Nature 488, 7409 doi: 10.1038/nature11283 欧米では60歳超の人々での認知症の有病率は5%を超えると推測されており、その約3分の2はアルツハイマー病によるものである。アルツハイマー病の年齢別有病率は、65歳以降では5年ごとにほぼ2倍になり、90歳超での有病率は25%を超える。今回我々は、アルツハイマー病のリスクに対して重要な影響を及ぼすアミロイドβ前駆体タンパク質(APP)遺伝子における低頻度の変異を探す目的で、1,795人のアイスランド人から得た全ゲノム配列データセットを対象として、APPのコード変異について調べた。アルツハイマー病に罹患していない高齢者では、APP遺伝子内の1つのコード変異(A673T)が、アルツハイマー病および認知機能低下に対して保護作用を示すことがわかった。この置換は、APPのアスパルチルプロテアーゼβ切断部位に隣接しており、in vitroではアミロイド形成ペプチドの産生を約40%低下させる。A673T置換がアルツハイマー病に対して強力な保護効果を示すことは、APPのβ切断の低減がこの疾患に対する保護作用を示す可能性があるという仮説の原理証明となる。さらに、A673T対立遺伝子はアルツハイマー病に罹患していない高齢者の認知機能低下に対しても保護作用を示すことから、この2つの病態は同一または同様の機序を介している可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る