Letter

物理:微小機械運動の量子基底状態へのサイドバンド冷却

Nature 475, 7356 doi: 10.1038/nature10261

レーザー冷却法の出現は、多くの原子スケール系の研究に大変革をもたらし、トラップしたイオンによる量子計算に向かう進展を加速させ、ボーズ–アインシュタイン凝縮体を用いた新しい物質状態を生み出している。類似の冷却法によって、運動基底状態にある巨視的な対象を調製する一般的で柔軟な方法が得られている。共振器光工学系、あるいは電気機械系は、光と運動との強い相互作用を通してサイドバンド冷却を実現する。しかし、量子領域では系は1個より少ない運動量子しか持たなくなり、サイドバンド冷却では低周波機械系とその熱い環境との結合に打ち勝てないため、量子領域に入るのは難しかった。本論文では、約10 MHzの微小機械振動子の量子基底状態へのサイドバンド冷却を実証する。これを実現するには大きい電気機械相互作用が必要であったが、この相互作用は微小機械膜を超伝導マイクロ波共振回路と混載することで得られた。この膜の運動がフォノン0.34±0.05個のフォノン占有数へ冷却されたことを確かめるため、(5.1±0.4)h/2π以内でほぼハイゼンベルグ限界に近い位置測定を行った。ここでhはプランク定数である。さらに、我々のデバイスは強い結合を示し、マイクロ波光子と機械フォノンとのコヒーレントな交換が可能である。強い結合、基底状態の調製、そして効率よい測定が同時に達成されたことにより、非古典的な運動状態の制御と検出、あるいは、さらに大きいサイズと質量の未開拓領域における量子論自体の検証さえも急速に進展するための準備が整ったと言える。機械振動子はどのような周波数の光とも結合できるため、マイクロ波領域と光領域との間で量子情報を転送する比類のない媒体としても機能する可能性がある。

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