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地球:中国南部で得られた同位体異常を示すキャップ苦灰岩膠結物は熱水起源である

Nature 474, 7349 doi: 10.1038/nature10096

クラスレートの不安定化による大気中へのメタン放出は、地球温暖化傾向を増幅する正のフィードバック機構であり、この機構は地質学的過去において幾度か働いた可能性がある。このようなメタン放出によって、地球史の中で最も極端な全球温暖化イベントの1つであった約635 Myr前のマリノア「スノーボールアース」氷期の終わりが引き起こされたか、あるいは終期の規模が拡大されたという仮説が立てられている。この仮説を裏付ける重要な1つの証拠は、中国南部の後氷期キャップ苦灰岩(つまり、氷河堆積物を覆う苦灰岩)で見られる異常に枯渇した炭素の同位体的特徴(δ13CPDBが−48‰まで減少している)であり、これらの特徴は堆積時に起こったメタン酸化の産物と解釈されている。本論文では、炭酸塩に凝集した同位体温度計である87Sr/86Sr同位体比、微量元素含有量と粘土鉱物学的証拠をもとに、13Cが枯渇した特徴を持つ炭酸塩は、キャップ苦灰岩の堆積後1.6 Myr以上経ってから結晶化したことを示す。我々の結果は、非常に13Cが枯渇した炭酸塩膠結物が熱水流体から成長したことを示しており、それらの炭素同位体の特徴は深部での発熱メタン酸化の結果であることを示唆している。この知見は、中国南部でのマリノア退氷期のメタン放出に対する炭素同位体の証拠を否定するだけでなく、湧水環境でのメタン酸化に関連した13Cが大幅に枯渇した特徴を持つ先カンブリア時代の堆積性炭酸塩の唯一知られている産出例を除外するものである。我々は、生物が行う硫酸塩を使ったメタンの嫌気的酸化によって13Cが大幅に枯渇した湧水炭酸塩を作り出す機能は、先カンブリア時代には海水の硫酸塩濃度が低かったことで制限されていたと考える。結果として、クラスレートの不安定化は「スノーボール」状態からの脱出に関与していた可能性も、いなかった可能性もあるが、炭素同位体の極端なシグナルをキャップ苦灰岩中に残さなかっただろうと考えられる。

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