Letter 化学:分子単結晶における配位子交換および選択的触媒水素化 2010年6月3日 Nature 465, 7298 doi: 10.1038/nature09085 単結晶内部での化学反応は選択性が高くなりそうだが、固体状態で原子の再配列が起こった後に結晶性を維持することが困難なため、単結晶–単結晶(SC–SC)変換の例はまれである。最も広く研究されているSC–SC変換では、多孔性配位高分子つまり金属–有機骨格中で溶媒交換反応が起こるが、これはホストの丈夫な高分子ネットワークを利用したものである。分子性有機結晶内で起こる反応の例では、結晶内でのアルケンやアルキンの結合などの光誘起反応がかかわっていることが多い。非多孔性の分子性無機結晶や有機金属結晶では、金属–配位子間結合の形成や開裂を伴う単結晶変換はまれである。既知の例には、単結晶からの配位子の喪失と可逆的再連結がかかわっていることが多いが、この過程では単結晶が崩壊して微結晶粉末になることがある。今回我々は、ピンサー型Ir(I)錯体の分子性単結晶中のイリジウム中心での、複数種の小さい気体配位子(N2、CO、NH3、C2H4、H2およびO2)の交換を含む一連のSC–SC変換について報告する。これらの配位子交換反応は結晶内で起こり、事前の配位子押し出しを必要としないが、単結晶はその反応中に原形を保っている。また我々は、非多孔性分子結晶内での選択的触媒変換を明らかにしている。つまり、窒素、エチレンまたは水素と連結したピンサー型イリジウム単結晶は、表面部位をCOで不活性化すると、プロピレンに比べてエチレンのほうを選択的に水素化する(25:1)ことを示す。 Full Text PDF 目次へ戻る