Article 物理:URu2Si2におけるファノ格子から「隠れた秩序」への転移の画像化 2010年6月3日 Nature 465, 7298 doi: 10.1038/nature09073 近藤格子内部では、実空間(r空間)の局在した電子と運動量空間(k空間)の非局在した電子が強く混成して、「重いフェルミオン」とよばれるエキゾチックな電子状態が発生する。URu2Si2では、このような効果は55 K付近の温度で生じるが、T0 = 17.5 Kで、未確認の電子相転移により突然変化する。これがk空間状態の従来型の秩序化なのか、それとも個々のU原子におけるr空間状態の混成に生じる変化なのかはわかっていない。今回我々は、分光画像化走査型トンネル顕微鏡法(SI-STM)を使って、URu2Si2電子構造の発展をr空間とk空間で同時に画像化した。T0より上では、磁気格子の近藤遮蔽に対して予測されている「ファノ格子」電子構造が明らかになる。T0以下では、密度波の特徴を全く伴わないで、部分エネルギーギャップがこのファノ格子から現れる。このギャップ内部での重い準粒子の干渉の画像化から、これは、T0以下での軽いk空間バンドが2個の新しい重いフェルミオンバンドに速やかに分裂するのが原因であることが明らかになった。したがって、URu2Si2の「隠れた秩序」状態はファノ格子電子構造から直接出現し、そして従来型の密度波の特性ではなく、各U原子での混成とそれに伴う重いフェルミオン状態の両方が突然変化する特性をみせる。 Full Text PDF 目次へ戻る