Letter 物理:トラップされたイオンを用いた、フラストレートしたイジングスピンの量子シミュレーション 2010年6月3日 Nature 465, 7298 doi: 10.1038/nature09071 ネットワークは、ノード間の競合する相互作用によって各結合の満足が妨げられたときにフラストレートする。この妥協状態は、社会ネットワークや神経ネットワークからタンパク質の折りたたみや磁性まで、多くの複雑な系の振る舞いで重要である。フラストレートしたネットワークは高度に縮退した基底状態をもち、絶対零度でも過剰なエントロピーと無秩序性が存在する。量子ネットワークの場合、フラストレーションから大量にもつれた基底状態が生じることがあり、これは量子スピン液体やスピングラスなどのエキゾチック材料の基盤となる。今回我々は、トラップされた3個の原子イオンからなる系で、それらの相互作用を光学的な力を使って厳密に制御して、フラストレートしたイジングスピンの量子シミュレーションを実現した。我々は、この系が横分極状態から断熱的に発展するときの系の基底状態を調べ、フラストレーションから余分な縮退が生じることを観測した。また、この系の量子もつれを測定し、フラストレーションと基底状態量子もつれの間にある関係を見いだした。この実験系は、規模を拡大すれば、古典的なコンピューターではフラストレートした相互作用の基底状態がシミュレートできない、もっと多数のスピンをシミュレートできる。 Full Text PDF 目次へ戻る