Letter 進化:選択の作用因子としての捕食と競争の相対的重要性を実験的に評価する 2010年6月3日 Nature 465, 7298 doi: 10.1038/nature09020 選択の方式を操作してそれに応答した自然選択を実測する野外実験は、適応の生態学的基盤が十分に研究された系であってもほとんど行われていない。カリブ海西インド諸島に生息するアノールトカゲ類の適応放散研究は数十年にわたって行われており、野生環境で取りうる選択作用因子が与える影響について正確な予測が可能となっている。今回我々は、古典的な島嶼での放散をもたらす適応度地形の形成に対する、考えられる2つの選択作用因子の相対的重要性を示す実験的証拠を報告する。我々は島全体に生息するブラウンアノール(Anolis sagrei)の個体数を操作し、自然選択の作用因子として、捕食と競争の相対的重要性を調べた。トカゲの個体群密度の高低に差のある6つの島で、捕食者である鳥とヘビを排除あるいは導入し、その後の行動や自然選択の差異を各島の個体群で計測した。捕食者はトカゲが枝に止まる際の行動を変化させ、また、死亡率を増加させたが、捕食者導入では表現型形質の選択に変化はなかった。これに対して、実験的な個体群密度上昇では生存能力にかかる選択が強まり、大きな体サイズ、相対的に長い肢、高い持久走能力が有利となった。ブラウンアノールから得られたこの結果は、アノールトカゲ属のエコモルフの適応放散の中核を成す形質の選択的地形形成では、捕食よりも種内競争のほうが重要であるという仮説と一致する。 Full Text PDF 目次へ戻る