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生化学:親和性の勾配が、銅を細胞内の目的地へと導く

Nature 465, 7298 doi: 10.1038/nature09018

銅は、真核生物と原核生物の大半にとって必須の微量元素である。しかし、細胞内で遊離状態にある銅は有害な副作用があるため、厳密に制限する必要がある。複雑な銅輸送系は、細胞の需要を満たす一方で毒性を最小限に抑えるように進化してきた。細胞内の銅輸送経路に沿って、結合相手間での銅の輸送を駆動する因子については、まだ完全に説明されていない。銅タンパク質の銅との結合親和性について、これまで報告されているデータには矛盾があり、ばらばらで比較ができなかった。今回我々は、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)を基本にした統一的な方法によって、細胞内の酸化還元環境を模倣した環境下で、細胞内の代表的な銅タンパク質群の見かけのCu(I)結合親和性を決定した。これらの銅タンパク質には、酵素による酸化還元触媒反応、さまざまな細胞内区画への、あるいは細胞区画内での銅輸送、および銅貯蔵にかかわっているものが含まれる。得られた熱力学データから、銅は、ある銅タンパク質から次の銅タンパク質へと、銅結合親和性が徐々に高くなる勾配によって受け渡されて、銅を必要とする酵素のところまで誘導されることがわかった。今回の結果は、銅を迅速に輸送する系にはタンパク質間の金属を介した相互作用、つまりタンパク質どうしの特異的認識が必要であるという知見と一致する。メタロチオネインは、Cu,Zn-SOD1と共に銅(I)に最も高い親和性をもち、細胞での銅の分布の調節に特別の役割を果たしている可能性があるが、反応速度論上の理由から、メタロチオネインは銅酵素の銅を遊離させることはできない。これらの知見は、細胞内へ銅を分布させる反応速度論的過程の熱力学的基盤を明らかにしている。

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