Letter 生化学:メタンの嫌気的酸化はメタン生成に極めて重要なニッケル酵素が触媒している 2010年6月3日 Nature 465, 7298 doi: 10.1038/nature09015 強力な温室効果ガスであるメタンは、海底堆積物中でメタン資化細菌や硫酸塩還元細菌からなる群集によって大量に二酸化炭素に酸化され(年間70〜300 Tgの間と推定される)、大気中への放出が防がれている。間接的な証拠から、メタンの嫌気的酸化は、古細菌による二酸化炭素からのメタン生成の逆反応として進行し、ニッケル含有メチル補酵素M還元酵素(MCR)がメタン活性化酵素として働いている可能性が示されている。しかし、MCRが吸エルゴン性の逆反応を触媒可能であることを示した実験はない。本論文では、Methanothermobacter marburgensis由来の精製MCRが、平衡条件下でメタンをメチル補酵素Mに変換することを報告する。このときの見かけの反応最大速度(Vmax)とミカエリス定数(Km)の値は、硫酸塩を用いたメタンのin vivo嫌気的酸化で観察される反応速度論的性質と一致した。この結果は、「逆メタン生成(reverse methanogenesis)」仮説を裏付けるものであり、メタン生成の最終段階のまだ明らかになっていない機序の理解に最重要といえる。MCRが、極めて反応性の高い酸素由来中間体の関与なしに、メタンの特に強力なC–H結合を切断できることは、触媒性のC–H活性化に直接関係しており、これは現在、化学分野で大きな関心を集めている問題である。 Full Text PDF 目次へ戻る