Letter 遺伝:シロイヌナズナ近交系における107の表現型の全ゲノム関連研究 2010年6月3日 Nature 465, 7298 doi: 10.1038/nature08800 全ゲノム関連(Genome-wide association;GWA)研究は、一般的なヒト疾患の遺伝的基盤を見いだすという難題の解決策となる可能性があるため、ヒトを対象とする遺伝学者が先駆者となって開発されたが、遺伝子型や塩基配列を決定する技術が進歩したことで、農業で重要な自然変異や形質の遺伝学を研究するための方法として広く使われるようになっている。近交系が利用可能である場合には、GWA研究は特に有用である。なぜなら、これらの系統の遺伝子型が一度決定されれば、何回も表現型の決定ができるため、多くの異なる環境で多くの異なる形質を研究することが可能になる(また、非常に費用効率も高くなる)一方、表現型の測定を繰り返すことで、環境の影響を低減できるからである。本論文では、この方法の検出力を107の表現型についてGWA研究を行うことによって示す。研究対象としたシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)は広く分布し、主に自家受精するモデル植物で、多くの重要な適応形質に対して、かなりの遺伝的多型をもつことが知られている。今回の結果はヒトのGWA研究の結果と大きく異なっているものだが、それは、我々のGWA研究では重要な効果をもつ多数の一般的な対立遺伝子が同定されたが、多くの場合、複雑な遺伝学的性質や集団構造による交絡のために偽りの関連と真の関連を区別することが難しく、それらの対立遺伝子の解釈がより難しくなっている点においてである。しかし、論理に基づいた候補はこれらの関連の中でも、かなり大きな比率を占めていることから、これらの多くが追試のための優れた候補になると考えられる。我々の研究で、シロイヌナズナでのGWA研究の実行可能性が示され、また、この方法がほかの多くの生物にも適していることが示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る