Article 細胞:マウス誘導多能性幹細胞における染色体12qF1上のインプリント遺伝子の異常なサイレンシング 2010年5月13日 Nature 465, 7295 doi: 10.1038/nature09017 誘導多能性幹細胞(iPSC)は、体細胞に特定の転写因子セットを強制発現することによって作出されている。iPSCが、胚盤胞由来の胚性幹(ES)細胞と分子的および機能的に同等であるかどうかについては、いまだに議論が続いている。本論文では、遺伝的に同一のマウスES細胞とiPSCの比較によって、それらのメッセンジャーRNAおよびマイクロRNAの全体的な発現パターンは区別がつかないが、染色体12qF1上のDlk1-Dio3インプリント遺伝子クラスター内にコードされる少数の転写産物はその例外で、iPSCクローンの大部分で異常に抑制されていたことを示す。Dlk1-Dio3遺伝子クラスターの発生における役割と一致して、これらのiPSCクローンは、キメラ寄与率が十分ではなく、完全にiPSC由来の動物(「完全iPSC由来マウス」)の発生を支持できなかった。対照的に、Dlk1-Dio3クラスターの発現が正常なiPSCクローンは、キメラ寄与率が高く、生存可能な完全iPSC由来マウスを作り出した。特に、Dlk1-Dio3が抑制されたiPSCクローンをヒストンデアセチラーゼ阻害剤で処理すると、その遺伝子座が再活性化し、完全iPSC由来マウスの満期発生を支持する能力が回復した。したがって、1か所のインプリント遺伝子クラスターの発現状態から、マウスのES細胞と大部分のiPSCの区別ができると考えられ、また、ES細胞の完全な発生能をもつiPSCクローンの同定が今後は可能になる。 Full Text PDF 目次へ戻る