Letter 生化学:HydAΔEFGの構造中で明らかになった、[FeFe]-ヒドロゲナーゼHクラスターの段階的集合 2010年5月13日 Nature 465, 7295 doi: 10.1038/nature08993 Fe-Sクラスターを含む複雑な酵素は自然界に広くみられ、二酸化炭素固定、窒素固定、水素代謝などの多数の重要な過程にかかわっている。水素代謝は、[NiFe]-ヒドロゲナーゼ、[FeFe]-ヒドロゲナーゼ、[Fe]-ヒドロゲナーゼ(Hmd)という、進化的にも構造的にも無関係な3種類の酵素の働きによって促進される。[FeFe]-ヒドロゲナーゼ(HydA)の触媒中心はHクラスターとよばれ、[4Fe-4S]サブクラスターが、独特な非タンパク質性リガンドをもつ修飾型2Feサブクラスターにシステインチオラートによって結合した形をしている。この2Feサブクラスターと非タンパク質性リガンドは、ヒドロゲナーゼ成熟酵素HydE、HydF、HydGによって合成されるが、その機構、合成、Hクラスター成分の挿入方法は不明である。今回我々は、HydAΔEFG(活性部位であるHクラスターの生合成遺伝子hydE、hydF、hydGを遺伝的に欠失させた状態で発現させたHydA)の構造を解明し、[4Fe-4S]クラスターの存在と2Feサブクラスターが入る開いたポケットの存在を明らかにした。この構造は、Hクラスター合成が段階的に起こること、すなわち最初に、一般的な宿主細胞装置による[4Fe-4S]サブクラスターの合成と挿入が起こり、次に、hydE、hydF、hydGにコードされた特異的な成熟装置によって2Feサブクラスターが合成、挿入されることを示している。2Feサブクラスターの挿入は、おそらく陽イオンの正電荷をもつチャネルを通して起こり、このチャネルはサブクラスター取り込み後に、2つの保存されたループ領域がコンホメーション変化を起こして崩壊する。構造と系統発生解析とを総合して考えると、HydAは、細菌内で2FeサブクラスターをもたないNar1類似の祖先から生じた可能性が最も高く、その後に数種の単細胞真核生物から2Feサブクラスターを獲得したのだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る