Letter 医学:筋萎縮性側索硬化症におけるオプチニューリンの変異 2010年5月13日 Nature 465, 7295 doi: 10.1038/nature08971 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は中年期に発症し、一次運動野、脳幹および脊髄の運動ニューロンの変性を特徴とする進行性変性疾患である。ALS患者の大半は孤発性であるが、約10%は家族性である。古典型の家族性ALS(FALS)を惹起することが明らかにされている遺伝子は、スーパーオキシドジスムターゼ1遺伝子(SOD1)、アンジオゲニンをコードするANG、TAR(transactive response)DNA結合タンパク質TDP-43をコードするTARDP、およびFUS(fused in sarcoma/translated in liposarcoma、TLSともよばれる)である。しかし、これらの遺伝子の異常は、FALS患者の約20〜30%に認められるのみであり、FALSを惹起する遺伝子の大半は不明である。今回我々は、オプチニューリンをコードする遺伝子で、これまでに原発開放隅角緑内障(primary open-angle glaucoma; POAG)の原因遺伝子であることが報告されているOPTNが、ALS患者では変異していることを明らかにする。我々は、OPTNにはエキソン5のホモ欠失、Q398Xのホモのナンセンス変異、E478Gのユビキチン結合ドメイン内におけるヘテロのミスセンス変異の3つのタイプの変異が存在することを見いだした。細胞へのトランスフェクションによる解析では、OPTNのナンセンスおよびミスセンス変異によってNF-κB(nuclear factor κB)の活性化阻害能が失われ、E478G変異型では、野生型またはPOAG変異型とは異なる細胞質内分布をすることが明らかになった。E478G変異を有する患者では、OPTNに免疫反応性を有する細胞質封入体を認めた。さらに、散発性あるいはSOD1変異によるALS患者のTDP-43またはSOD1陽性封入体も、抗OPTN抗体によって明確に標識された。これらの知見は、OPTNがALSの病因に関与していることを強く示唆している。さらに、NF-κBの阻害剤がALSの治療薬となる可能性とともに、さまざまなOPTN変異を有する遺伝子導入マウスがALSの治療薬開発に役立つことも示している。 Full Text PDF 目次へ戻る