Letter 物理:ジョセフソンリング変調器による準量子限界近傍での位相保存増幅 2010年5月6日 Nature 465, 7294 doi: 10.1038/nature09035 最近、固体での量子情報処理が進展したため、マイクロ波領域において量子限界の性能をもつ増幅器や周波数変換器の探索が活発に行われている。線形増幅器は、空間的・時間的に単一モードの電磁場の直交位相成分に与えられる利得に応じて、雑音特性の根本的な違いから2つのカテゴリー(位相敏感と位相保存)に分類できる。位相敏感増幅器はスクイージングを用いて量子雑音を低減するが、ホモダイン検出のようにシグナルに位相基準が付いている場合にのみ有用になる。位相保存増幅器は、多くの応用でより望ましいものだが、このような装置はまだ実現されていない。我々は、本質的に位相を保存する、非縮退型の超伝導パラメトリック増幅器の提案を実験により実現した。これは、ホイートストンブリッジ状に配置にした4個のジョセフソン接合から構成されるジョセフソンリング変調器を用いる。この装置の対称性によって、増幅過程の純度が大きく増大し、その動作と解析が共に簡素化される。この増幅器の利得と帯域幅に関する特性は解析的予測とよく一致した。新しく開発した雑音源を使って、実際の動作条件下での我々の装置全体の雑音の上限は量子限界の3倍になることを示した。今回の成果は、キュービットの量子非破壊単一事象読み出し、量子フィードバックやもつれたマイクロ波シグナル対の生成など、量子アナログ信号処理分野への応用が期待される。 Full Text PDF 目次へ戻る