Letter 細胞:NotchとDelta間のcis相互作用は互いに排他的なシグナル伝達状態を作り出す 2010年5月6日 Nature 465, 7294 doi: 10.1038/nature08959 Notch–Deltaシグナル伝達経路は、発生中に隣り合う細胞間でのコミュニケーションを可能にする。これはきめ細かなパターンの形成に必須の役割をもち、最初は同質だった隣り合う細胞の間で異なる細胞運命を作り出し、発生中の組織で隣接する領域の境界を明瞭にする。Deltaリガンドは2つの活性をもつことが示されており、隣接細胞に対してはNotchをトランス活性化し、同一細胞内ではNotchをcisに抑制する。しかしながら、Notchがこれらの2つの作用をどのように統合し、その結果生じるシステムがどのようにパターン形成を促進するのかは、明らかにされていない。本研究ではこの課題に取り組むために、個々の哺乳類細胞におけるNotch–Deltaシグナル伝達の動的変動を解析するための、定量的時間差顕微鏡観察プラットフォームを開発したことを報告する。cisとtrans両方のDelta濃度を調節し、Notch受容体の動態をモニタリングすることで、Notch–Delta系における複合的なcis–transの入出力関係を計測した。その結果、transとcisのDeltaに対するNotchの応答には著しい違いがあることが示された。trans–Deltaに対する応答は段階的であるが、cis–Deltaに対する応答は急激であり、一定の閾値でtrans–Deltaとは独立して起こる。同一細胞でのNotchとDeltaタンパク質の相互不活性化から、これらの挙動がどのように生じるのかを示す単純な数理モデルを作製した。この相互作用は、送信側(高Delta/低Notch)あるいは受信側(高Notch/低Delta)という相互に排他的なシグナル伝達状態間で、超高感度のスイッチを作り出す。多細胞レベルでは、転写を介したフィードバックがない場合であっても、このスイッチは隣接する細胞間での小さな差異を増幅することができる。このNotch–Deltaシグナル伝達スイッチは、発生モデルで明瞭な境界の形成や側方抑制パターンの形成を促進し、これまで説明できなかった変異挙動を解明する手がかりとなる。 Full Text PDF 目次へ戻る