Letter

構造生物学:光非依存型プロトクロロフィリド還元酵素のX線結晶構造

Nature 465, 7294 doi: 10.1038/nature08950

光合成生物は、クロロフィルaの直接の前駆体であるクロロフィリドa合成のためにプロトクロロフィリド(Pchlide)のC17=C18二重結合を還元する際に、2つの異なる戦略をとっている。1つは、光依存型Pchlide酸化還元酵素の使用であり、もう1つは光非依存型(暗所作動型)Pchlide酸化還元酵素(DPOR)の使用である。DPORは、ニトロゲナーゼと類似した酵素で、ニトロゲナーゼのFeタンパク質とMoFeタンパク質に対応した、Lタンパク質(BchL二量体)とNBタンパク質(BchN–BchBヘテロ四量体)という2つの成分からなる。今回我々は、光合成細菌であるRhodobacter capsulatusがもつDPORのNBタンパク質を、2.3Å分解能でX線結晶構造解析した。予想されたように、その全体構造はニトロゲナーゼのMoFeタンパク質と似ている。BchN–BchBからなる機能ユニットそれぞれが、Pchlide1分子と、1個のアスパラギン酸と3個のシステインを配位子にもつ新規な鉄–硫黄クラスター(NBクラスター)を1つもっている。特徴的なアスパラギン酸の配位は、クラスター形成には必ずしも必要ではないが、触媒活性には必須である。Pchlideの特異的な結合は、隣のBchN–BchB機能ユニットに属するαへリックスのほぐれを伴っている。我々は、PchlideのC17位にあるゆがんだプロピオン酸基とBchBのアスパラギン酸が、それぞれPchlideのC18とC17へのプロトン供与体として機能するという、独自のトランス特異的還元機構を提案する。NBクラスターとPchlideの空間配置は、ニトロゲナーゼMoFeタンパク質中のPクラスターとFeMo補因子の配置にほぼ一致しており、ポルフィリンと分子状窒素の化学的に安定な多重結合を還元する共通の構造基盤を示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度