Letter 遺伝:染色体16p11.2上の微小欠失に起因する新規高浸透型肥満 2010年2月4日 Nature 463, 7281 doi: 10.1038/nature08727 肥満は西欧の「肥満を引き起こしやすい」環境と、強い遺伝的素因との間の相互作用によって生じるため、世界的に公衆衛生上の重大問題となっている。最近の詳しい全ゲノム関連解析(GWAS)から、肥満に関連する多くの一塩基多型が明らかにされたが、これらの遺伝子座すべてを合わせても、既知の遺伝的因子のごく一部分しか説明できない。そのため、「よくある疾患には、よくある変異」仮説への懐疑の声がしだいに高まりつつある。今回我々は、非常に浸透度の高いタイプの肥満について報告する。これが初めに確認された31人の患者には、染色体16p11.2上に少なくとも593キロベースにわたるヘテロ接合性の欠失があり、認知障害などが認められた。ヨーロッパの8つのコホートから得られた16,053人のGWASデータからは、同様の欠失が19人で同定された。これらの欠失は非肥満の健常人対照者には認められないが、病的肥満患者(ボディマス指数(BMI)≥ 40 kg m−2またはBMIの標準偏差値≥ 4;P = 6.4×10−8、オッズ比43.0)の0.7%を占める。このことは、強い影響を及ぼすまれな変異が、よくある疾患に重要であることを示している。これは、肥満などの複合遺伝形質で、明らかにされていない遺伝性を同定するための有望な戦略をはっきり示している。すなわち、極端な表現型を有するコホートでは、まれな変異が高頻度で認められる傾向が強く、そうした変異を発見する力が向上する。こうして同定された遺伝子座を解析すれば、最近SIM1について報告されたように、明らかにされていない遺伝性にさらに寄与しているまれな変異も明らかになるかもしれない。したがって、そのための最も生産的な取り組み方は、表現型がよくわかっている小さなコホートにおける「極端な表現型の力」と、症例対照および集団コホートにおける標的を定めた経過観察とを組み合わせることであろう。 Full Text PDF 目次へ戻る