Letter 光学:スペーザーを用いたナノレーザーの実証 2009年8月27日 Nature 460, 7259 doi: 10.1038/nature08318 物理学とナノテクノロジーの分野で最も急速に成長しているものの1つに、ナノメートルスケールのプラズモン効果に注目したものがあり、これはセンシングや生物医学から画像化技術や情報技術に至る、さまざまな用途が考えられる。しかし、ナノプラズモニクスの十分な発展は、コヒーレントなプラズモン場を発生できるデバイスがないことで妨げられている。レーザーがコヒーレント光子の誘導放出を起こすのと同じように、「スペーザー」は、利得媒質付近の共鳴金属ナノ構造体において表面プラズモン(金属ナノ構造体における自由電子の振動)の誘導放出を起こしうると提案されている。しかし、スペーザー実現の試みは、金属の吸収損失(光周波数で特に強い)という難問に直面している。局所的な伝搬表面プラズモンでは、光学利得で損失を補償するという考えが最近実施され、開放経路での伝搬表面プラズモンの増幅まで可能になった。しかし依然として、これらの実験や報告された金属ナノ粒子の存在下での色素分子の誘導放射増強は、スペーザーに存在するフィードバック機構を欠いている。今回我々は、金のコアと色素をドープしたシリカシェルをもつ直径44 nmのナノ粒子で、利得によって局所表面プラズモンの損失を完全に克服して、スペーザーを実現できることを示す。また、表面プラズモン共鳴のみが光周波数の振動をナノスケールの共振器にスクイーズして真のナノレーザーを実現できるという説のとおり、表面プラズモン振動と波長531 nmのフォトニックモードのアウトカップリングによって、我々のシステムがこれまで報告された中で最小のナノレーザーとなり、我々の知るかぎりで初の可視光波長での動作となることを示す。今回スペーザーが実験的に実現されたことで、ナノプラズモニクスに関する我々の基本的理解が深まり、実際的な応用の開発が進むと期待される。 Full Text PDF 目次へ戻る