Article 医学:CCR3は加齢黄斑変性症の診断と治療の標的となる 2009年7月9日 Nature 460, 7252 doi: 10.1038/nature08151 加齢黄斑変性症(AMD)は世界の主な失明原因の1つで、先進国ではがんと同程度に数が多い。AMDによる失明の大半は、脈絡膜血管新生(CNV)が起こり、網膜へ進展することによる。今回我々は、AMD患者では脈絡膜新生血管の内皮細胞で好酸球/マスト細胞ケモカイン受容体CCR3が特異的に発現されていることと、ヒトの脈絡膜新生血管ではCCR3のリガンドであるエオタキシン-1、-2、-3が発現されているにもかかわらず、好酸球とマスト細胞のどちらも存在しないことを明らかにする。マウスを用いて、遺伝学的に、あるいは薬剤を使ってCCR3やエオタキシンを阻害すると、実験的レーザー誘導CNVが阻害された。CCR3阻害によるCNVの抑制機序は、血管内皮細胞増殖の直接阻害であり、好酸球やマスト細胞をもたないマウスでも生じ、マクロファージや好中球の遊走とも関係なく起こることから、炎症との関連はなかった。CNVの抑制に関して、CCR3の阻害は、現在臨床で使われている血管内皮増殖因子(VEGF-A)の中和抗体よりも効果が高く、しかもVEGF-Aの中和抗体と違い、マウス網膜に対する毒性がない。CCR3を標的とする量子ドットを用いたin vivo標識では、通常のフルオレセイン蛍光眼底造影法では検出できないマウスの自然発生CNVを、網膜内へ進展する前に検出することができた。CCR3を標的とすれば、CNVの早期発見と血管新生阻害によって、AMDを原因とする失明を減らせる可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る