Letter 医学:造血微小環境の負の制御因子としての骨髄脂肪細胞 2009年7月9日 Nature 460, 7252 doi: 10.1038/nature08099 哺乳類の骨髄で、骨芽細胞と内皮は造血幹細胞を支持する機能的ニッチを構成している。成体の骨髄には脂肪細胞も含まれており、その数は骨髄の造血能と逆相関する。放射線照射あるいは化学療法に続いて、造血性赤色骨髄への脂肪浸潤がみられ、これは生検では骨髄形成不全の診断上の特徴となる。脂肪細胞が造血に影響を与えているのか、あるいは単に骨髄の空間を占拠するだけなのかを調べるために、マウスの骨格で脂肪蓄積が異なる別個の領域の造血能を比較した。本論文では、フローサイトメトリー、コロニー形成能、競合的骨髄再構築アッセイにより、マウスでは、脂肪細胞のない胸椎に比べて脂肪細胞が豊富な尾の椎骨で、造血性幹細胞と短期の前駆細胞の数が減少していることを示す。脂肪細胞を作ることが遺伝的にできない脂肪萎縮性A-ZIP/F1「無脂肪」マウス、および脂肪生成を阻害するペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ阻害薬ビスフェノールAジグリシジルエーテルを投与したマウスでは、野生型あるいは無投与のマウスに比べて、放射線照射後の移植骨髄の生着が促進される。以上の結果は、脂肪細胞が骨髄微小環境の強力な負の制御因子であることを示唆しており、臨床的な骨髄移植では骨髄の脂肪生成に拮抗することにより造血の回復が促進される可能性を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る