Letter 医学:ヒストンH3リシン36のトリメチルトランスフェラーゼはNkx2-5をウォルフ・ヒルシュホーン症候群へと結びつける 2009年7月9日 Nature 460, 7252 doi: 10.1038/nature08086 さまざまなヒストン修飾は、それぞれに特定のタンパク質によって触媒され、認識されて、転写シグナルとして作用するための独特の修飾パターンを形成している。特にヒストンH3の36番目のリシン残基(H3K36me3)のトリメチル化は、転写活性領域に存在し、進行中の転写の目印となるとされてきた。しかし、高等真核生物におけるH3K36me3の制御機序、並びにその機能は明らかにされていない。今回我々は、H3K36me3に特異的なヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMTアーゼ)であるWolf-Hirschhorn syndrome candidate 1(WHSC1、NSD2またはMMSETとも知られる)が、発生にかかわる転写因子と共に転写を調節し、その欠損によりヒトにウォルフ・ヒルシュホーン症候群(WHS)を引き起こすことを示す。Set2の推定上の5つのホモログの1つであるマウスWhsc1が、胚性幹細胞では細胞型特異的な転写因子Sall1、Sall4、Nanogと、胎仔心臓ではNkx2-5と会合し、それぞれの標的遺伝子の発現を調節して、ユークロマチンのH3K36me3を制御することが見いだされた。Whsc1を欠失するマウスは発育が遅延し、先天性の心血管形態異常をはじめとするWHSに類似したさまざまな正中線欠損を示した。Nkx2-5のヘテロ変異体の心臓では、Whsc1のハプロ不全による影響が増大されたことから、この2つの遺伝子間における機能上の関連性が示唆される。我々は、WHSC1が発生に関する転写因子と共に機能することにより、さまざまな病態生理を引き起こす可能性のある誤転写を予防していると提唱する。 Full Text PDF 目次へ戻る