Letter 医学:毒素BはClostridium difficileの毒性に必須である 2009年4月30日 Nature 458, 7242 doi: 10.1038/nature07822 Clostridium difficileは、その病原性、胞子形成能と感染持続性のため、世界的に病院内で蔓延する感染性下痢症の主原因となっている。C. difficile関連疾患は、抗生物質投与あるいは正常な胃腸管細菌叢の崩壊によって引き起こされる。近年、C. difficile関連の罹病率と死亡率が著しく上昇しているが、これは原因菌株の毒性および抗生物質使用方式の変化によるものである。2002年以来、主要な毒性因子である毒素Aと毒素Bを多量に産生する毒素型III NAP1/027流行株が出現している。これらの毒素はアミノ酸配列の63%が類似しており、グルコシル化を起こすクロストリジウム毒素の大ファミリーに属している。この毒素ファミリーのメンバーはモノグルコシルトランスフェラーゼで、ヒト大腸内で炎症誘発性、細胞毒性、腸管毒性を示す。宿主細胞内では、2つの毒素のどちらもRhoファミリーGTPアーゼへのグルコース転移を触媒し、細胞死をもたらす。しかしながら、C. difficile感染におけるこれらの毒素の役割は不明である。今回我々は、毒性C. difficile株の、毒素Aと毒素Bをそれぞれコードする同質遺伝子tcdAとtcdBの変異体を作製し、この変異体を用いてハムスター疾患モデルで毒素Bが重要な毒性決定因子であることを明らかにした。以前の研究では、C. difficile感染後のハムスターにみられるほとんどの病態が精製した毒素Aだけで惹起可能であり、毒素Bは毒素Aと一緒に投与しないと動物に毒性を示さないことから、これらの毒素が相乗的に作用すると考えられていた。我々の研究では、毒素Aでなく、毒素Bが病原性に必須である証拠を提示する。また、感染に関するこれらの毒素の重要性は、精製した毒素を用いた研究のみからは予測不可能であり、疾患における毒素の役割の詳細な解明に、自然の感染過程を用いることの重要性が一層はっきりした。 Full Text PDF 目次へ戻る