Letter 視覚:初期視覚領域にある視覚の作業記憶の内容を読み取る 2009年4月2日 Nature 458, 7238 doi: 10.1038/nature07832 視覚の作業記憶は、知覚と高次の認知機能とをつなぐために不可欠で、刺激が目の前から消えた後にも刺激情報の能動的維持を可能にする。これまでの研究で、前頭葉前部、頭頂葉、側頭葉下部、後頭葉外側などの高次脳領域の持続的活動が視覚の保持にかかわっていることが示唆されており、これが作業記憶の容量に上限があって、3から4個の対象までしか保持できない理由ともされている。しかし、高次領域には初期知覚領域にある視覚選択性がみられないため、観察者が特定の視覚的特徴、例えば格子模様の正確な傾きを、どのようにして20秒前後にもわたってほとんど劣化なく保持できるのかは不明だった。初期知覚領域が精密に調整された特徴情報の維持にかかわっているという考え方もあるが、初期視覚領域は、長い遅延時間中、持続的活動をほとんど、あるいは全く示さない。今回、ヒト視覚野で、その全般的活動レベルがたとえ低くても、作業記憶内に保たれている格子の傾きを活動のパターンから読み出せることがわかった。機能的磁気共鳴画像化とパターン分類手法を用いて、一次〜四次視覚野の活動パターンから、作業記憶に保持されている格子の傾きが2種のうちいずれであるかを、長期遅延ののち被験者の神経活動がベースラインにまで下がった後でも、80%以上の確率でいい当てることができた。この傾き選択的な活動パターンは、遅延時間中維持されており、各視覚野で明らかであり、非注視下で課題と無関係な格子模様によって引き起こされる反応と類似している。これらの結果は、初期視覚領域が、作業記憶内に保持されている視覚特徴についての特定の情報を、刺激の実体が消えた後、何秒にもわたって保ちうることを実証している。 Full Text PDF 目次へ戻る