Letter 生理:InsP3によるInsP3受容体のクラスター形成はInsP3とCa2+による制御を再調整する 2009年4月2日 Nature 458, 7238 doi: 10.1038/nature07763 Ca2+シグナル伝達が多用途性であるのは、その空間・時間的な構成に由来している。イノシトール1,4,5-トリスリン酸(InsP3)によって始まるCa2+シグナル伝達の場合は、急速な刺激により仲介されるInsP3受容体(InsP3R)どうしの局所的相互作用と細胞質のCa2+によるもっとゆっくりとした抑制がそのために必要で、これにより、InsP3濃度の上昇に応じたCa2+放出現象の階層的増加が可能となる。まず単一のInsP3Rが応答し、次いで、クラスター化したInsP3Rが同時に開口して局所的な「Ca2+パフ」をもたらす。パフの頻度が増えてくると、これが再生性のCa2+波を発火させる。今回我々は、核膜のパッチクランプ記録により、InsP3Rが初めは、推定で約1 µmの間隔で無秩序に分散していることを明らかにする。低濃度のInsP3によって、InsP3Rは急速に、約4個のInsP3Rが密接に結合した可逆的な小さなクラスターを形成する。静止時の細胞質Ca2+濃度では、クラスター化したInsP3Rは互いに無関係に開口するが、クラスターを形成していないInsP3Rと比べて開口確率は低く、開口時間は短く、InsP3感受性は低い。細胞質Ca2+濃度が上昇すると、クラスター形成によりもたらされた阻害が解除され、InsP3Rの開閉が連動し、複数チャネルが開口する持続時間が延長する。クラスター形成により、InsP3Rは局所的なCa2+濃度上昇にさらされ、Ca2+の影響も増大する。InsP3によるクラスター形成の動的な制御は、InsP3とCa2+に対するInsP3Rの感受性を再調整し、すべてのInsP3誘発性Ca2+シグナル伝達の基礎となる基本的現象の階層的増加を促進する。 Full Text PDF 目次へ戻る