Letter 発生:胚発生の際のFGFシグナル伝達は多様な上皮組織で繊毛の長さを調節している 2009年4月2日 Nature 458, 7238 doi: 10.1038/nature07753 繊毛は、脊椎動物のほとんどの上皮組織でみられる細胞表面小器官である。繊毛の特殊化したグループは、左右軸形成をはじめとして胚発生に必須の役割を担っている。最近になって、繊毛は細胞間シグナル伝達の受容体としても働いていると考えられるようになった。しかしながら、繊毛の長さを調節する細胞間シグナル伝達経路についてはほとんどわかっていない。本研究では、ゼブラフィッシュとアフリカツメガエル(Xenopus)の発生で、繊維芽細胞増殖因子(FGF)シグナル伝達が多様な上皮組織で繊毛の長さと機能を調節していることの複数の証拠を示す。ゼブラフィッシュでのFGF受容体1(Fgfr1)のモルフォリノ・ノックダウンは、クッパー胞での繊毛長の短縮を細胞自律的に引き起こし、胚の左右パターン形成に必要な方向性のある液流を乱す。FGF受容体の優性ネガティブ型(DN-Fgfr1)の発現、SU5402(FGFシグナル伝達の阻害剤)処理、機能重複したFGFリガンドFgf8とFgf24の遺伝学的またはモルフォリノによる減少は、この繊毛長表現型を再現する。Fgfr1のノックダウンも、耳胞における係留繊毛(tethering cilia)の短縮と、前腎輸管における運動繊毛の短縮を引き起こす。アフリカツメガエルでdn-fgfr1を発現させると、左右パターン形成を制御する原腸蓋板(gastrocoel roof plate)での単繊毛の短縮と、外部粘膜繊毛上皮でのmulticiliaの短縮を引き起こす。まとめるとこれらの結果は、FGFシグナル伝達は複数の組織で繊毛長の調節に、重要で高度に保存された役割をもつことを示している。Fgfr1シグナル伝達の阻害は2つの繊毛形成転写因子foxj1とrfx2、および繊毛内輸送遺伝子ift88(別名polaris)の発現を低下させ、このことは、FGFシグナルがFgf8/Fgf24-Fgfr1-繊毛内輸送経路を介して繊毛長を調節していることを示している。したがって、FGFシグナル伝達が原因とされる発生の異常や疾患の一部は、繊毛機能の欠失が一因であると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る