Letter 視覚:両眼視差と眼球優位性にかかわる視覚皮質の微小構造 2009年4月2日 Nature 458, 7238 doi: 10.1038/nature07721 カマキリなどの無脊椎動物でも野生ネコなどの脊椎動物でも、捕食者にとって両眼間のわずかな網膜視差を検出する能力は、獲物のような動く物体の奥行を正確に決める上での重要な手段である。哺乳類では、両眼視差を符号化する視覚経路の最初のニューロンが、皮質視覚野で見つかっている。しかし、両眼視差検出のための詳しい機能的構造は、どの種でも示されておらず、視差の粗いマップが得られているのも霊長類の一種のみにすぎない。また、両眼視皮質ニューロンの発達可塑性を調べる研究では、両眼機能を推測する目的で片眼ずつ刺激して眼球優位性をテストしたものが大部分である。個々の細胞の眼球優位性と両眼視差との関係を調べた少数の研究では、単一ユニット記録法を用いており、眼球優位性によって視差選択性と視差感受性のどちらが予測できるのかについて、矛盾する結果が得られている。今回我々は、ネコの視覚皮質(18野)の小領域中で、ほぼすべての隣り合うニューロンについて、単眼刺激時と両眼刺激時の反応を、2光子カルシウム画像法を用いて記録した。その結果、眼球優位性回路は、必ず単眼機能性と思われる領域から隣接する両眼機能性領域にスムーズに段階的に移っていくことがわかった。極めて予想外なことに、ネコ視覚野内に、両眼視差選択性のための精密な機能的微小構造をもつ新たなマップが見つかった。単一細胞レベルでの眼球優位性は、両眼視差選択性とも感受性とも相関がなかった。ある特定の皮質領域に、眼球優位性の局所マップと両眼視差の局所マップの両者に測定可能な勾配がみられた場合、両者の勾配の方向は互いに直交していた。これらの結果から、個々のニューロンの発火活動という観点からは、その眼球優位性から両眼視差調整を予測することはできないといえる。しかし、眼球優位性と両眼視差のマップの正確な局所的位置関係が明らかになったことで、単眼性および両眼性の奥行信号がどのように組み合わされ読み解かれているかについて、解明への新たな糸口が得られた。 Full Text PDF 目次へ戻る