Letter 細胞:ウイルスキャプシドの成熟時に起こっている予想外のねじれ 2009年4月2日 Nature 458, 7238 doi: 10.1038/nature07686 ラムダ様二本鎖(ds)DNAファージのキャプシドは、ゲノムを包み込む際に大規模なコンホメーション変化を起こす。キャプシドは、数百ものタンパク質サブユニットが込み入った四次構造を作るように集合している複雑な複合体で、完成するとゲノムの包み込みの際に50気圧を超える高圧にも耐えられるようになる。キャプシドの多数のサブユニットが一体化するには、プロキャプシドと名付けられた中間複合体の形成が必要で、個々のサブユニットはこの中間体から、必要な再折りたたみや構造再編成を経て、もっと安定なキャプシドへと移行する。さまざまな成熟キャプシドの構造が原子レベルの分解能で解明されているが、dsDNAウイルスやバクテリオファージのこのようなプロキャプシドの構造は、これまで明らかになっていない。今回我々は、ラムダ様バクテリオファージHK97について、prohead IIと名付けたプロキャプシドの3.65 Åの分解能でのX線構造を報告する。HK97の成熟キャプシドの構造は、以前に3.44 Åの分解能で解かれている。この2種類のキャプシドは大きく異なり、その形状の比較から、移行の様子を示す、これまでに例のない展開機構が明らかになった。本論文に示す結晶解析データと水素/重水素交換のデータから、この2つの状態のキャプシドではサブユニットの三次構造が著しく異なり、ヘリックス領域とβシート領域の両方でねじれや屈曲が生じている。また、成熟の間を通じて維持されるキャプシドの各3回対称軸のところで、サブユニットどうしが相互作用していることがわかった。この相互作用がサブユニットの再折りたたみの間キャプシドの一体性を保ち、成熟の際には固定点となってサブユニットの回転、並進運動の中心となる。近縁のバクテリオファージP22について以前に報告されている熱量測定データでは、キャプシドの成熟は発熱過程で、90 kJ mol−1のエネルギーが放出されることが示されている。今回報告した大きな三次構造変化が、発熱による成熟過程の構造基盤と考えられ、HK97とサブユニットの折りたたみ方が共通する多くのdsDNAファージや、おそらくはヘルペスウイルスなどでもこのようなキャプシド成熟が起こっている可能性が高い。 Full Text PDF 目次へ戻る