Letter 生態:海底堆積物中の現存バイオマスに対する古細菌の大きな寄与 2008年8月21日 Nature 454, 7207 doi: 10.1038/nature07174 これまでの海底深部掘削調査によって、堆積物内に拡がる広大な微生物生態系が見いだされている。染色された微生物細胞の直接計数の結果と生息可能と思われる範囲の海底堆積物の全体積から、このほとんど未調査の生息環境に存在する微生物細胞由来の炭素量は56 Pgから303 Pgであると試算されている。培養に依存しないさまざまな手法を使った最近の研究では、この広大な生態系で古細菌(アーキア)と細菌のどちらが優占的であるかについて、いまだ明確な結論は示されていない。本論文では、世界各地のさまざまな海洋学的条件から採取した海底下1 m以深の堆積物を調査し、生細胞の生物指標である完全体極性膜脂質の少なくとも87%は古細菌型であり、古細菌が海底下のバイオマスに大きな割合を占めていることを示唆している。定量的ポリメラーゼ連鎖反応とスロットブロットハイブリダイゼーションの改良された手法から得られた結果は、脂質に基づく結果を支持しており、これまでの手法が古細菌のバイオマスをこれまで過少推定してきたことを示している。海底堆積物中の脂質濃度は、全有機炭素濃度に比例している。この関係に基づいて、全球の海底下生命圏における細胞由来炭素量を独自に試算したところ、90 Pgと推定された。その値は1桁以内の違いでこれまでの推定値と一致しており、全球のバイオマス収支にとって海底下生命圏が極めて重要であるという認識に変わりはない。 Full Text PDF 目次へ戻る