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細胞:線虫にみられる交尾栓の多型の分子基盤

Nature 454, 7207 doi: 10.1038/nature07171

遺伝性の変異は進化上の変化を生み出す素材であり、その遺伝的基盤の解明は、現代生物学の中心的課題の1つである。我々は、線虫(Caenorhabditis elegans)の古典的な表現型二形性の遺伝的基盤について調べた。自然環境から得られた多くの分離体の雄は交尾後に交尾栓を残すが、実験室で最も広く用いられる標準的な野生系統(N2 Bristol)を含め、自然分離体の雄にも交尾栓を残さないものもいる。交尾栓はゼラチン状の物質で、雌雄同体の陰門を覆い、これを残すことが次の雄の交尾成功率を低下させる。交尾栓形成のこの二形性は、交尾栓の主要な構造成分を産物とする新規なムチン様遺伝子plg-1のエキソンにレトロトランスポゾンが挿入された結果であることを示す。この遺伝子は雄の生殖腺体細胞である分泌細胞の一部で発現されており、これが失われても、雄の配偶者防衛行動が失われる以外には明確な影響がみられない。線虫は偏性異系交配性の雄、雌の祖先から生じた子孫だが、主として自家受精を行う雌雄同体として存在する。雌雄同体の出現発生に伴って雄どうしの競争に基づく選択が弱まったことで、多面発現性が限定されている機能喪失変異が、全体に拡大するようになったのかもしれない。

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