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生化学:腸管出血性大腸菌のエフェクターEspFUによるWASP活性化の構造的機構

Nature 454, 7207 doi: 10.1038/nature07160

腸管出血性大腸菌(EHEC)は、感染の際に宿主の細胞内にEspFUタンパク質を注入することで、真核細胞のアクチン細胞骨格を乗っ取る。EspFUはWASP(Wiskott-Aldrich syndrome protein)ファミリーのメンバーを活性化することで、アクチンを支配する。今回我々は、EspFUがWASPタンパク質中にあって自己阻害的に働くGTPアーゼ結合ドメイン(GBD)へ結合し、活性をもつVCAドメイン(verprolinと相同で、中央の疎水性かつ酸性な部位)からGBDドメインを引き離すことを示す。この相互作用により、WASPおよび神経系のN-WASPがin vitroで強く活性化され、細胞内で局所的なアクチン重合を引き起こす。GBD-EspFU複合体の溶液中の構造では、EspFUが両親媒性のヘリックスを形成し、自己阻害されたWASPでのVCAドメインとGBDの相互作用を模倣する形でGBDと結合していた。したがって、EspFUは、GBD上のVCA結合部位に対して直接競合することでWASPを活性化している。これは、真核生物の活性化因子Cdc42とSH2ドメインにより用いられている、GBDフォールドを全体的に不安定化してVCAを放出させる機構とは異なっている。WASPタンパク質に働く機構に、他の多モジュール系と違ってこのような多様性がみられるのは、分離したGBDとVCA要素が本来的に構造をもたないことによるのかもしれない。EspFU-GBD複合体とCdc42/SH2-GBD複合体とは構造的に両立しないものであり、それに加えてEspFU結合の親和性が高いことで、EHECは真核生物の細胞骨格装置を効率よく乗っ取ることができるのである。

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