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宇宙:火星の大気における不均質化学過程

Nature 454, 7207 doi: 10.1038/nature07116

火星の大気中では、水素ラジカルが水蒸気の光分解により生成され、これによって光分解産物である一酸化炭素から二酸化炭素を再生する触媒サイクルが開始される。これらの過程は、二酸化炭素が95パーセント含まれる火星大気の安定性についての定性的な説明となる。しかし、火星大気の気相化学的性質に関する我々の現在の理解に基づいて、二酸化炭素の生成量と消滅量を釣り合わせることは困難だとわかっている。これまでに、気体の化学種と氷晶雲粒子との相互作用は、地球の成層圏で観測される極域オゾン消失の重要な要素であることが示され、これは地球の対流圏上層の化学過程に大きな擾乱を与えている可能性がある。火星大気中では、水氷雲もまた広く観測されており、不均質化学過程が火星大気の組成に重要な影響を与えている可能性が従来から示唆されてきた。本論文では、最先端の大気大循環モデルと火星大気オゾン層の新たな観測データを用い、気相化学過程のみに基づくモデルシミュレーションに比べて、氷晶雲上で起こる化学反応過程を含めたモデルシミュレーションでは、観測されるオゾン濃度の定量的な整合性が大きく改善されることを示す。オゾンは水素ラジカルによって容易に破壊されるので、火星大気を調節する化学過程の鋭敏なトレーサーとなる。今回の結果は、氷晶雲表面上での不均質化学過程が、火星大気の安定性と組成の制御に重要な役割をもつことを示唆している。

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